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研究トピックス一覧

ペプチド伸長因子が光合成のストレス耐性の決定因子であることを解明―植物のストレス応答の機構解明に向けて―(大学院理工学研究科 西山佳孝教授)

2025/8/22

プレスリリース全文はこちらからご覧ください。

ポイント

  • 植物は常に環境ストレスにさらされており、これが光合成活性を低下させる主要因となります。
  • しかし、植物は光合成の活性を維持するために、特別なシステムを備えています。その核心は修復機構であり、そこではタンパク合成が重要な役割を果たします。
  • 今回の論文では、タンパク質合成に関わる多くの因子の中でも、特にペプチド伸長因子のEF-GとEF-Tuが修復機構で決定的な役割を担っていることを明らかにしました。
  • ペプチド伸長因子の働きを制御することで、農作物の高温耐性や紫外線耐性を高めるための応用研究への道が開かれます。
図1. 光化学系II(PSII)の修復とタンパク質合成系の酸化還元調節。(A) PSIIの修復過程で、D1タンパク質のペプチド鎖が伸長される様子。(B) ペプチド伸長因子EF-Gの酸化還元。(C) ペプチド伸長因子EF-Tuの酸化還元。

概要

埼玉大学大学院理工学研究科の西山佳孝教授の研究グループは、光合成の環境ストレス耐性にペプチド伸長因子が重要な役割を果たすことを明らかにしました。
この研究では、タンパク質合成系を構成するペプチド伸長因子EF-GおよびEF-Tuが酸化傷害を受けるメカニズムや、これらのペプチド伸長因子の酸化が光合成に与える影響が詳細に解明されました。
これらの重要な発見について、関連する知見とともに総説としてまとめられました。本成果は、光合成の環境ストレス応答機構の解明に向けた大きな一歩となることが期待されます。
本成果は、2025年8月21日にCell Press刊行の植物科学専門誌『Trends in Plant Science』のオンライン版で公開されました。
URL:https://www.cell.com/trends/plant-science/fulltext/S1360-1385(25)00199-2

論文情報

雑誌名 Trends in Plant Science
論文名 Elongation factors regulate the repair of photosystem II oxido-reductively
翻訳因子の酸化還元による光化学系II修復の制御
著者 Yoshitaka Nishiyama*, Haruhiko Jimbo, Norio Murata (*責任著者)
DOI 10.1016/j.tplants.2025.07.006
URL https://www.cell.com/trends/plant-science/fulltext/S1360-1385(25)00199-2

用語解説

(1)    光合成
光エネルギーを使って二酸化炭素と水から糖を生産する一連の反応。植物や藻類、シアノバクテリアなどの光合成生物にとって生存上欠かすことのできない重要な生命活動です。また、光合成によって作られた糖は、地球上のすべての生命の炭素源となっています。光合成反応で生み出される酸素は、大気の約21%を占める酸素層を形成しており、人類を含む地球上のすべての好気生物の呼吸を支えています。

(2)    光化学系II
光合成の中で、光エネルギーを化学エネルギーに変換する最も重要な装置。チラコイド膜に存在しており、タンパク質20種類以上、クロロフィル約40分子、他にカロテノイドや脂質を含む巨大な分子複合体です。ここで太陽の光エネルギーが電子伝達の化学エネルギーへと変換されます。このエネルギー変換過程で酸素が発生します。

(3)    光阻害と修復
光化学系IIは光阻害を受けやすく、強光下では容易に失活します。この現象は光阻害と呼ばれます。一方、生体内では失活した光化学系IIは、速やかに修復されます。損傷を受けた反応中心のD1タンパク質が分解され、転写?翻訳を経て新たに合成されたD1タンパク質が光化学系IIに挿入されて、光化学系IIが再活性化します。ただし、修復と修復のバランスがとれているときは、光阻害は顕著には現れませんが、損傷の速度が修復の速度を上回ったとき、光阻害が起こります。光阻害に限らず、生物のからだの中では常に分解と合成が起こっています。

(4)    タンパク質合成系
翻訳系とも言われます。タンパク質を合成する巨大な分子装置。リボソームやRNA分子から構成されており、ここでmRNAの配列情報をもとにタンパク質が合成されます。

(5)    EF-Tu
タンパク質合成系を構成するペプチド伸長因子の一つ。アミノアシル-tRNAをリボソームのAサイトに運搬する役割を担っています。EF-Gとともに、アミノ酸を一つずつ繋げてペプチドを形成するペプチド伸長反応を支えています。

(6)    EF-G
タンパク質合成系を構成するペプチド伸長因子の一つ。ペプチジル-tRNAをリボソームのAサイトからPサイトに移行させる役割を担っています。EF-Tuとともに、アミノ酸を一つずつ繋げてペプチドを形成するペプチド伸長反応を支えています。

(7)    酸化還元
化学反応において、物質間で電子のやり取りが行われる現象のことです。ある物質が電子を失う変化が「酸化」、同時に別の物質が電子を得る変化が「還元」と呼ばれます。

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